活動レポート

vol.38【カナカツ】地域に根ざした「第三の居場所」ー金沢区 青少年の地域活動拠点を訪れて

記者:みお(高校3年生)

神奈川県横浜市金沢区、すずらん通り商店街の一角にある「金沢区青少年の地域活動拠点」、通称「カナカツ」を訪れ、現地のスタッフや利用者の高校生2名にお話を伺った。まだまだ暑さの残る午後、ここでは学校でも家庭でもない、子どもたちが「ありのままの自分」でいられる“第三の居場所”が、穏やかな時間とともに存在していた。

カナカツとは何か

「カナカツ」は、地域の小学生から高校生世代までの子どもたちが気軽に集える居場所。開所日は週3回(火・木・土)、放課後や休日の午後に開放されており、勉強、遊び、交流、イベント参加など、利用者の自由なスタイルに合わせた使い方ができる。家庭や学校以外の「もう一つの居場所」として、子どもたちが自分のペースで過ごせる空間だ。

特に印象的だったのは、話を聞かせてくれた高校3年生のRさん、そして高校2年生のCさんの言葉だった。2人とも中学2年生のころからこの拠点を利用しており、Rさんは「ここに来ると笑顔が増えた」と話してくれた。学校でも家でも出せない“素の自分”を安心して表現できる環境が、ここにはあるのだと感じた。

フリースペースの魅力

建物の1階は、特に小中学生が多く集まるにぎやかなスペース。駄菓子屋のようなコーナーがあり、お菓子を片手にカードゲームをしたり、おしゃべりを楽しんだり、宿題に取り組んだりと、それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。今の流行は、「大富豪」とのこと。こうした遊びの中から、自然と年齢を超えた交流が生まれる。

2階は中学生以上が利用できる落ち着いたスペース。個別デスクやキューブソファ、小上がりスペースが設置されており、自習をしたり、静かにスマホを見たりと、リラックスした空間になっている。Cさんのお気に入りは「低いテーブル」、Rさんは「ソファで寝転ぶこと」だという。特にテスト期間中にはすぐに席が埋まってしまうほどの人気ぶりだ。

「勉強や宿題のために来る子も、遊びに来る子も、来てくれた子どもたちみんなが安心して過ごしてほしい」と話してくれたスタッフの方の言葉からも、この場所がどれだけ多様なニーズに応えているかが伝わってきた。

イベントを通じた成長の場

カナカツでは、定期的にさまざまなイベントも開催されている。中でも注目されているのが「カナカツ美術展」だ。今年で第10回を迎え、地域の中高生による作品展示や手作り品の発表の場として、金沢公会堂で開催されている。Rさんも「自分の作品を出展できてうれしかった」と話してくれた。受付係にも挑戦したそうで、自らの力でイベントを支える喜びや達成感を得た様子が伝わってきた。

また、毎年10月に開催される「いきいきフェスタ」も地域の大きなイベントの一つ。海の公園に多数の露店が立ち並び、ダンスステージなどもあるにぎやかな催しだ。「カナカツも出張縁日として出店」準備段階から携わることで、子どもたち自身が主体的に動き、問題解決力やコミュニケーション力を育む貴重な機会にもなっている。

地域とのつながりと小さな貢献

ナカツの活動は、拠点内にとどまらない。たとえば、商店街の花壇への「水やりボランティア」や、小さな子どもとのふれあいを目的とした「ふきのとう」(イベント名)、敬老の日に向けてプレゼントを用意する取り組みなど、地域に根ざした活動が多く存在している。こうした、ささやかな貢献の場が子どもたちに提供されていることは、地域全体の温かさや包容力を象徴しているようだった。

「早く知っていればよかった」と思える場所

今回、私は初めてこのような青少年の地域活動拠点を訪れ、率直に「もっと幼いときに知っていたかった」と思った。学校や家庭に居場所を感じにくい子どもたちにとって、こうした空間が果たす役割は非常に大きい。特に、初対面でも自然に交流できる雰囲気や、リラックスした空気感は、そのまま「安心」と「信頼」につながっていると感じた。

取材中も、多くの利用者が楽しそうに過ごしている様子が印象的だった。中高生たちが自ら「また来たい」と思える場所が、地域に存在していることはとても心強い。そして、このようなレポートを通じた広報活動が、少しでも青少年の地域活動拠点の発信につながればと願う。

最後に──カナカツからのメッセージ

スタッフの方はこう語ってくれた。「気になったら、まずは気軽に来てみてほしい。ここは、来たいと思ったときに自由に立ち寄れる場所。学校でも家でもない、“自分でいられる場所”として、誰にとっても開かれている」。

そして利用者の高校生たちからも、こんな言葉が寄せられた。「家に居づらいと感じたとき、リラックスしたいとき、ここに来てほしい。学校以外でも友だちを作れる場所がここにはある。」と。

カナカツは、子どもたちにとってただの“施設”ではない。彼ら一人ひとりが、何かを感じ、何かを得て、そして誰かとつながるための「場」である。地域の中でこうした拠点が果たしている役割は、今後ますます重要になっていくに違いない。

活動レポート一覧へ